2010年08月09日 (月) | 編集

この写真は、たくさんのスイーツを撮ったモノクロ写真…
ではありません。
現代アート作家、渡辺おさむのスイーツ作品を撮ったモノクロ写真、
でもないのです。
実は渡辺おさむが、モノクロで制作した作品のカラー写真なのです。
実際のケーキをモノクロ写真で撮り、それを観察しながら、可能な限り再現した作品です。
モノクロの写真や映画を見れば一目瞭然。
白から黒は無限のグラデーションですね。
それに挑んだ、画期的な作品でした。
渡辺のまだ長くはないキャリアの中でも、最も重要な作品の一つだと思います。
この作品は、2008年に私達のビューイングルームで開かれた個展で
初めて発表されました。
それにしても、不思議でした。
人間は普段、カラーで物を見ています。(当り前か)
モノクロ写真やモノクロ映画などは「モノクロだ」と分かって
見ているので、違和感はありません。(これも当り前か)
けれども、この作品を目の前でみた時、あまりにもケーキはカラーで見ていたために、目の前のケーキは本当はカラーで存在し、見ている自分の目がおかしくなったような感覚に陥るのです。
すると、自分は何を見てんだ?って事になって、一瞬、訳が分からなくなり、これはカラーのケーキではなく、モノクロで見えるんだからモノクロのケーキのはずで、カラーのケーキに思えるのがおかしく、ということはモノクロのケーキだと思えばいいわけで、カラーに見えるモノクロってことは…ワタシは誰?ここはどこ?……はぁはぁ…
てなことにはなりませんが。(笑)
まぁ、そんなこんなで、上手く作品のワナにはまってしまった愉しさでありました。
小さい画像で申し訳ありませんが、しばしお楽しみくださいませ。
ご注意:アナタが見ている画像はカラーのケーキを
モノクロで制作した、カラー写真です。