月に昇った兎
2011年01月07日 (金) | 編集
兎と猿と狐は旅して歩いていました。


ある日、
痩せっぽちで倒れていたおじいさんと出逢いました。


おじいさんはとても弱っていたので、
三匹は可哀想に思い、
力になろうと決めました。


猿はさっそく木に登り、
木の実を採って来ました。


狐も負けじと川に走り、
魚を捕まえて来ました。


兎もそこいらを駈け回り、跳ね続け、
何かないかと探します。


でも、どんなに頑張っても、
何も見つけられず、
何も獲れませんでした。



一生懸命駈けたんです。


おじいさんの力になりたいと。


頑張り頑張り、ぴょんぴょんと…。



けれどもやはり、駄目でした。


そこで兎は、猿と狐に焚き火をたいて貰います。


そのあと、
どうぞわたしをお食べください
と言って火に飛び込みました。



実は帝釈天だった痩せっぽちのおじいさんは、
兎の捨て身の慈悲の行いに胸を打たれました。


そして後世に慈悲を伝えようと、兎を月に昇らせました。



月に見える兎には、この時の煙も見えています。






九谷色絵筆洗
兎と亀
明治時代


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