2010年10月16日 (土) | 編集
art navigation vol.37
とっても日本的なエロティシズムです。
西洋のそれのような、
リアリズムにそった肉感的な身体はありません。
湿度が高く、風や音はなく、時間さえ止まってしまった空間の中で、
少女と娘の間くらいの女の子が描かれています。
秘密めいた匂いが濃厚です。
昭和の時代で、場所は当時のお金持ちの日本家屋の庭でしょうか。
女の子と書きましたが、大人にも子供にも見えますね。
とてつもなく「女」である事は分かります。
きっと、画像をご覧になった瞬間、どきり!とされた事でしょう。
まず、画面の中の若い女と目が合い、
ほとんど同時に下半身で起きている事件を見て、
「どきり」としたはずです。
「びっくり!」とは違う、静かにコトリとする「どきり」です。
若い女と目が合った瞬間、
見ている事がばれてしまったような後ろめたい感覚に襲われませんでしたか?(笑)
マネの「オランピア」がそうだったように、
同時代の挑発的で性的な視線というのは抗しがたい力を持っています。
しかし落ち着いて見ると、女の視線は少しずれています。
目が合ったと思ったのは錯覚で、見ている自分の右後方の存在に若い女は視線を送っています。
……誰? 誰かいるのか…?
ちょっと裏切られたような感覚に陥ります…。
そんなふうに絵の中に引きずり込まれていくのですね。
優しいけもののような視線をこちらに送る若い女は、
女学生らしき格好をし、象徴的な赤い鼻緒の下駄を履いています。
子供の頃、そんなお姉さんが近所にいました。
犬は鎖に繋がれていて、若い女はその鎖を跨いでいますね。
女は加害者です。
イタズラしているのは女で、犬は被害者なのです。
背景の松の木は明らかに変ですね。
松は通常力強く描かれていますが、この作品ではへなちょこになっています。
力強い男性の象徴である松がヘロヘロに描かれているのは、
きっと意図があることでしょう…。
浮世絵の超有名な歌麿や北斎なども春画を描きましたが、
ただ性的なだけではなく、芸術性があります。
今の時代、表現の自由がありますので、無限のエロス表現がまかり通っていますが、
アートであることの魅力を存分に持っているエロティックな作品は
現代アートの大切な領域だと思います。

今回のお話の作品
(作家名)森口裕二
とっても日本的なエロティシズムです。
西洋のそれのような、
リアリズムにそった肉感的な身体はありません。
湿度が高く、風や音はなく、時間さえ止まってしまった空間の中で、
少女と娘の間くらいの女の子が描かれています。
秘密めいた匂いが濃厚です。
昭和の時代で、場所は当時のお金持ちの日本家屋の庭でしょうか。
女の子と書きましたが、大人にも子供にも見えますね。
とてつもなく「女」である事は分かります。
きっと、画像をご覧になった瞬間、どきり!とされた事でしょう。
まず、画面の中の若い女と目が合い、
ほとんど同時に下半身で起きている事件を見て、
「どきり」としたはずです。
「びっくり!」とは違う、静かにコトリとする「どきり」です。
若い女と目が合った瞬間、
見ている事がばれてしまったような後ろめたい感覚に襲われませんでしたか?(笑)
マネの「オランピア」がそうだったように、
同時代の挑発的で性的な視線というのは抗しがたい力を持っています。
しかし落ち着いて見ると、女の視線は少しずれています。
目が合ったと思ったのは錯覚で、見ている自分の右後方の存在に若い女は視線を送っています。
……誰? 誰かいるのか…?
ちょっと裏切られたような感覚に陥ります…。
そんなふうに絵の中に引きずり込まれていくのですね。
優しいけもののような視線をこちらに送る若い女は、
女学生らしき格好をし、象徴的な赤い鼻緒の下駄を履いています。
子供の頃、そんなお姉さんが近所にいました。
犬は鎖に繋がれていて、若い女はその鎖を跨いでいますね。
女は加害者です。
イタズラしているのは女で、犬は被害者なのです。
背景の松の木は明らかに変ですね。
松は通常力強く描かれていますが、この作品ではへなちょこになっています。
力強い男性の象徴である松がヘロヘロに描かれているのは、
きっと意図があることでしょう…。
浮世絵の超有名な歌麿や北斎なども春画を描きましたが、
ただ性的なだけではなく、芸術性があります。
今の時代、表現の自由がありますので、無限のエロス表現がまかり通っていますが、
アートであることの魅力を存分に持っているエロティックな作品は
現代アートの大切な領域だと思います。

今回のお話の作品
(作家名)森口裕二