描かない絵
2010年10月04日 (月) | 編集
art navigation vol.30


そこには「色」しかありません。

よく見ると本当は、濃淡があり、メインの色以外の色も微かにあるように見えます。


何も「意味」を理解出来る取っ掛かりはありません。

山やりんごや人間もなく、○△□などの形もなく、
筆の痕跡である何らかの線さえもありません。


ただ、色が在るだけです。


そんな、完璧な抽象画はいかがでしょう。



「ほな何描いてんの? 意味分からんわぁ!」
という声が聞こえて来そう(笑)


そう、「意味」は分からないで正解なんです。
だって何も「意味」は描いていませんから。


風景や静物や人間、また悲しみや喜びなどの感情…
あらゆる「意味」のイメージはありません。



ではそんな絵は、観る人を拒み、素っ気ない作品でしょうか。


いいえ。
ものすごく豊かな表情を持ち、叙情的で、
広がる奥行を感じ、色のパワーを感じることが出来ます。


完璧な抽象を目の当たりにすると、先ずは「意味」を探すことを諦めます。
そこから、ちょっとした心の旅が始まります。



例えば青の色だけの作品。


騒めいていた気持ちは、「青」に吸い込まれていきます。

胸の中が透明度のある「青」に染まり、
軽くなったような感覚になります。


あなたは、海や空を思い出すかもしれない。

露草や桔梗を思い描くかもしれない。

昔好きだった人のセーターかも。


或いは、ただ切なくなるだけかもしれません。



何かしら「意味」を与えてくれるイメージがない作品ほど、
観る者は自由でいられるのです。



今回のお話の作品一例
(作家名)大澤辰男

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