「折元立身」という名の個性
2010年08月16日 (月) | 編集





折元立身という現代美術家をご存知でしょうか。

画像でもお分かりの通り、強烈な個性のアーティストです。

顔にパンを括り付けているのが本人、隣にはお母さん。
もう一枚も本人親子です。

初めて作品を知ったのは、十数年前、関西を代表するコレクターの方に
「面白い作家がいるねん!」
と目をキラキラさせて教えて頂いた時でした。
それ以来、ずっと応援しています。


1946年川崎市生まれ。
68年にカリフォルニアに渡り、その後ニューヨークで前衛芸術活動の
フルクサスに関わります。
帰国後は国内での思うような評価を得られない苛立ちを抱えながらも
世界に立ち向かいます。

そして、イギリス、ドイツ、ブラジル、韓国、ブカレストと次々に高い評価とオファーを勝ち取りました。

2001年ベネチアビエンナーレ、2008年サンパウロ美術館での回顧展を始め数多くのアートショーに選ばれます。

「ART MAMA」(アートママ)
「Bread Man」(パン人間)
他パフォーマンス多数。


国内での評価の難しさは、表現の過激さにあります。

アルツハイマーとうつを患った自分の母親を、いわば『素材』として
作品に出演させました。

タイヤを首に掛けたり、手作りのビックシューズを履かせたり、
段ボールやドラム缶に入ってもらったりしました。

人生の活躍を終えた人の存在を私達はどう見てどう扱っているのかを
激しい皮肉とユーモアを混ぜ合わせて発信していて、
一般的な『良識』を軽々と越えています。


けれども、作家本人やお母さんに会うと分かるのですが、
過激な表現の奥にあるものは『愛情』なのです。
老いてゆく人たちへの慈悲とも言える想いです。

手を差し伸べる性質のものではなく、人間臭さを撒き散らしながら
同じ地に立つ姿勢のものです。


決してクールとは言えない折元立身の声が聞こえてきます。

「オレ達、お互いみんな老いていくしかないんだよ。人間同士が大事だろ。オレのアートはそういう事だよ!」と。



良識や常識を越えた表現は、現代アートの魅力のひとつ。
アタマとココロを柔らかくして、ご高覧くださいませ。


おまけ
これは、折元さんが大阪に来た夜に一緒に空けた焼酎の瓶です。
ほろ酔いで落書きしてくれました(笑)


クリストの矢
2010年08月12日 (木) | 編集
問題です!

これは何でしょう?





答は
クリスト&ジャンヌ=クロード『アンブレラ』プロジェクトの
傘のハギレです。


『アンブレラ』は、1991年10月に茨城県に青色1340本、
カリフォルニアに黄色1760本の傘を立てるプロジェクトでした。

茨城県では、設置予定の土地所有者は457名。クリスト達は67回説明と話し合いに訪れました。


クリスト&ジャンヌ=クロード(Christo&Jeanne-Claude)夫妻は、いわゆる「梱包する作品」で知られています。
代表的な梱包したモノは、2Kmに渡る「梱包された海岸」(1969年Australia)、「梱包されたポン・ヌフ」(1985年Paris)、「梱包されたライヒスター《旧ドイツ帝国議会議事堂》」(1995年Berlin)などがあります。

想像して頂ければ分かると思いますが、様々な政府の中の省や高官、そこに暮らす住民などの許可を得るには、気が遠くなるような攻防があったことでしょう。
それぞれ数年から数十年かかっています。

交渉を含めたプロジェクト全体を作品とする考え方のアーティストです。



それにしても、人工的な色の布で梱包されたモノの何と素敵なことか!

しかももちろん期間限定なので、
夢まぼろしの如く消えてしまうのです。



その昔、現代アートの世界を知り始めた頃、
初めて彼らの作品画像を見た瞬間、その壮大さ、そのユーモア、
その姿勢に魅了され、ハートに矢が刺さったのでした。

ご存知のない方は、ぜひ検索して作品画像をご覧になってみて下さい。

矢が飛んでくるかもしれません!
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